名もなきライターのブログ

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旅に出たいのにミメーシスが邪魔をする

そもそも、欲望にオリジナルはないと古典で読んだことがあります。なぜなら、人の欲望は人から人へ伝染するからです。オリジナルの欲望は極めて限られた人の中にしかなく、誰かが渇望しているものを、自分も渇望するのです。これを古代ギリシア語ではミメーシス(模倣)といいます。

 

さて、なぜそんなことを言い出したのかというと、私はいま、旅に出たいのです。理由は、社長が旅に出たがっているからです。ミメーシス。欲望が模倣され、私まで旅に出たくなりました。

 

しかし、社長は言うのです。

 

「旅に出たいという強い思いが、文字をひとつ進めてくれる。」

 

と。一緒に行きたくない言い訳にしか聞こえないのですが、たしかに外の世界を見たいという強い渇望こそが、創作の原点になるという点は否めません。

 

また、直木賞を取った重松清先生はゴーストライター時代、取材相手に会わなくてもめちゃめちゃおもしろい本が書けたので大変重宝されていたと聞きます。あまりに引き合いが多く儲かっていたので、ゴーストライターなのに外車に乗っていたという伝説をお持ちです。

 

その話をすると社長は

 

「そう、そう!家にいながらアフガンの最前線がわかるようなレポートが書けるぐらいじゃないと」

 

というのです。おお、こたつに入ったままアフガニスタンのレポートが書けるぐらいのリサーチ力を身につけよと・・・

 

できるか!そもそも、こたつには入っていません。比喩表現なのでお間違いありませんぬよう。。。

 

ああ、旅に出たいですね。いくなら金沢の半島がいいです。そこでキラッキラのシーグラスを拾って、ピッカピカに磨いて、かばんに詰めて永遠の思い出にして持って帰りたいです。この話を私は夏頃からしているのですが、社長は「それは男のロマンだからダメ!」といいます。シーグラス、拾いたいのに。

 

でも、実はそれもミメーシスです。結局、オリジナルの欲望などないのです。エニアグラムでタイプ4(個性を重んじる人)でありながら、私は欲望ひとつ自分の中から生み出すことができないのです。