ブロックチェーンはほんとうに世界を変える?ドロップアウトした元SEがぼんやり考える

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ブロックチェーンは世界を変える」
リップルは国際送金のグローバリゼーションを起こして世界を変える」

 

若い人たちはそういって興奮します。とても良いことですね。

ブロックチェーン技術が何か、私もエンジニアをやめて7,8年経っているのでなかなか最新のトレンドについていくのが難しいのですが、いくつかの本やWebサイトを読むに考えたことがあるので今日はそれをシェアしていきます。ドロップ・アウトした元SEの世迷言なので、厳しいツッコミはご容赦を。

 

技術の変化とは連続性の変化である

 

まず前提として意識しておかなければならないのが、新しい技術とはある日突然現れるものではないということです。センシティブな人たちは「○○が世界を変える」という発言をしがちですが、昔から「○○が世界を変える」といわれるものは多くでてきていたのですね。

 

たとえば、アジャイルという開発手法が登場したとき、私はまだ若きエンジニアだったのでとても興奮しました。これはSE主導のウォーターフォール型開発の世界を変え、エンジニア・ドリブンの世界を作ってくれるのではないかと。しかしまあ、あんまり世界は変わりませんでした。アジャイルは確かに一部のベンチャーでは使われているのですが、日本のITは相変わらず変わりません。

 

それから、「HTML5が世界を変える」といった人もいます。でもまあそりゃあ、変わったかもしれませんがインパクトはごくわずかです。

 

私たちが期待するほど、急激に世界が変わる、テクノロジーは急激には登場しない、というのが私の考えです。では、テクノロジーの変化とはどのようにして起こるか。

 

連続性の変化とはどのようなものか

 

タップス佐藤社長の本「未来に先回りする思考法」でも書かれていましたが、変化は連続的に起こります。古い技術の困った点を新しい技術が克服してゆく。そこには連続性があり、かならず以前の技術を継承している側面がある。

 

 

1997年、私が最初に開発に使用したプログラミング言語C言語でした。当時はまだメインフレームからクライアント・サーバー型にシステムが移行したばかりで、メモリをケチケチ管理する時代を引きずっていたんですね。

 

しかし、コンピュータがムーアの法則とともにスペック・マシマシになってくると、メモリ管理はそれほどどうでも良くなってきて、Cで何度も同じライブラリを書かなくてはならない、という不便さを解消するためC++が生まれます。

 

C++オブジェクト指向型言語で、クラスを使ってモデリングし、より効率よく大規模開発ができるような言語でした。けれどもまだまだメモリ管理は厳密に行わなければマシンがクラッシュする。

 

そこで、メモリ管理をガベージコレクタに一任し、人間はプログラムを書くだけであとはVMにまかせて自由にプログラミングするJavaが登場します。

 

1998年頃、私はJavaという素晴らしい言語を知った時、今後はこれが爆発的に流行るだろうと思っていち早く学習に着手しました。よって、なんとかその後も職には困らなかった、という感じです。実際、業務系開発におけるJavaのニーズはすさまじく、爆発的に普及していきました。

 

タップスの佐藤社長は本で別の話を使って表現していますが、このように新しい技術は以前の技術を継承して生まれるというのが私の認識です。

 

P2PWinnyを開発した金子勇さん

 

2002年、私が暇つぶしに掲示板でJavaの質問に答えていた頃、「そんなくだらねぇことやってねえでP2Pソフトでも作れよ!」と煽られたことがあります。Winnyのことです。

 

私と同世代の方は、「Winny懐かし~」と思われることでしょう。Winnyは分散ネットワークと同時に匿名技術を用いて開発されています。開発者の金子さんがどこからこの着想を得てWinnyを開発したのかは、ご本人がもう亡くなってしまったため知るよしもありません。

 

多くの人がパソコンにWinnyをインストールするとしましょう。するとWinny同士が通信を始めます。ファイルをブロックに分けて、次々とWinny同士のネットワーク上にファイルが流され、コピーが分散してゆく。

 

誰かがファイルを(多くは著作権侵害の音楽や漫画などを)、アップロードした場合、ネットワーク上のあらゆるPCにコピーが分散されます。よって、まず原本がどこかわからなくなるのです。これってつまり、ファイルの信頼性が確保されてるってことですよね。そしてファイルは永久に残り続けます。

 

そして匿名性も高まりますし、ダウンロードのスピードも上がります。多くのPCにキャッシュが残っていますから、あっという間にダウンロードできるようになります。

 

2002年当時はまだ多くの家庭にインターネットの専用回線は行き渡っていなかったのではないでしょうか。ADSLがせいぜいで回線速度が遅かった。おそらく金子さんはこれらのインフラが整っていないことを前提として、Winnyを設計したのかもしれません。

 

ブロックチェーンって何かに似てるよね

 

匿名性・信頼性・改ざん不可能性、そしてスピード。

まるでブロックチェーン技術のようですね。Winny著作権侵害のファイルが飛び回り、結果としてさまざまな人の運命を変えてしまいましたが、テクノロジーそのものに罪はありません。

 

そしてP2P技術は今の時代に継承されてゆき、送金技術として使われる可能性がでてきました。世界中のパソコンとスマホで決済が可能になります。アフリカの原野に住んでいる電気やガスも満足に通っていない世界の人たちも、スマホだけは持ってるとテレビで見たことがあります。

 

技術が生まれ、社会のインフラが整い、デバイスのスペックが上がっていけば、こうしたブロックチェーンの技術によって、さまざまな可能性と生活レベルの向上が生まれ、それがグローバル規模で展開されることでしょう。若い人たちは、そうした世界的かつ社会的な変化にエキサイトしているのかもしれません。

 

社会が変わるとは、人々の価値観が変わるということ 

 

しかし人間は愚かですから、Winny著作権違反のファイルが数多くアップロードされ、社会問題となってしまったように、新しい技術を正しい方向性で使っていかないといけないですね。

 

社会が変わる、とは人々の価値観が変わる、ということでもあります。ブロックチェーンは人々の思想まで変えてしまうのか、とても注目です。まだクライアントのお正月が開けていなくてのんびりしているので、今日はこんな本を読んでぼんやり考えていました。